和装はファッションか伝統衣装か
和装を愉しむ方には、ファッションとして個人のセンスを主張する方、和装を日本の伝統的衣裳としてとらえ、嗜みの一部として取り上げる方がいらっしゃいます。
一般的に、おしゃれ着、普段着はファッションとして、フォーマルは伝統衣裳として捉えられる方が多い気がします。
絹
上品な艶、軽く、シワになりにくく、寒暖に適応できる絹を着ることは着物の醍醐味の一つです。
帯も締めやすく緩みにくい絹が最高です。
絹は薄く体にまとわりつくような布から、麻のように体から離れる硬い布まで、
糸の細さ、目のつみ方、多彩な織り方で無限とも思える布ができます。
また、染色に関しても他の繊維で織った布より美しく、色の鮮やかさが違います。
下着、長襦袢も絹にすると、吸湿・吸汗性に優れ、放湿性も高く衣服内環境を快適に保つことができます。
また絹は温度が高い時には絹布外部へ熱を逃がし、温度が低い時には内部に熱を保持する特性があるので、
冷房などの冷気から体を守る、微妙な体温維持に適していると言われています。
染め生地
戦前日本の重要な輸出品であった絹は、いかに量産するかに主眼がおかれ、いろいろな品種を掛け合わせて、病気に強く、大きく、糸が太く、繭量が多い蚕に改良されてきました。
この経済偏重の傾向は、着心地や品質の軽視につながり、いくら品質が良くても繭糸量が少ない蚕は商業養蚕から姿を消していきました。
しかし近年、外国産生糸との差別化・高付加価値化を図る目的からも、国産繭や細繊度蚕品種繭など、繊度ムラや節が少ない、しなやかで染め付きが良い等、品質重視のブランドシルクに人気が集まっています。
重い生地
昔は絹が高かったので生地のうすい商品も作られていました。その反動として、重ければ良い生地だとお考えの方も多くいらっしゃいます。
しかし、現在は絹が昔のように高くはないので(外国から安い絹が沢山輸入されているので)、よほどの粗悪品でない限りペラペラの薄い生地を使うことはあまりありません。
逆に、必要以上に重さを強調する傾向があります。
しかし、重い生地とは、糸が太いと言うことで、品質が良いと言うことではありません。
それでは実際着るものとしての良い生地とはなんでしょう。
一般的には、適度な糸の太さ、弾力、光沢があり、染料を適度に含む生地というとこでしょうか。
着る側からいえば、着やすい、シワになりにくい(または、シワになっても回復しやすい)、着崩れしにくい、着姿がよく見える。
加工する側からいえば、染料を適度に含み、染め難がでにくい糸質の良いもの。
着る側、加工する側、両方にとって良いところで折り合いが付いた生地が良い生地といわれます。
生地の見分け方
生地の選び方は一般の方が手触りで選ぶのは無理だと思われます。
私共も生地を触って、弾力や光沢、しなやかさは判断できても、触っただけでその生地の本来の性質が判るわけではありません。
着用なさったお客様のご意見を伺ったり、機会があれば染織に携わっている方から教えを請うたりして日々勉強しています。
あとは国内で織られた生地か、国内のブランド生地か、ブランド糸を使ったものかなどを判断の目安にします。
生地の反端には産地(丹後、濱)、「日本の絹」マーク、製織業者名(河藤、伊と幸、大塚など)、製品ブランド名(絹鳴り光彩、まるまんなど)、特別な糸の名称(三眠蚕、松岡姫、世紀21、 あけぼの糸、新小石丸など)、生地の量目などが表示してあるのでそれを参考にしています。
現在白生地の三大産地は丹後、長浜、五泉市です。丹後、長浜では縮緬、五泉ではおもに絽の白生地が織られています。
織りの着物
着物には先染めのものと、後染めのものが有ります。
先染めは、糸を染めてから織るもので、いわゆる織りの着物です。
後染めは、加賀友禅のように白生地に染加工をするものです。
織りのものは「硬もの(かたもの)」、染めのものは「柔らかもの」とも呼ばれます。
織りの着物は、染め、絣などによる意匠(デザイン)を楽しむ着物であると同時に、
糸質、加工、織り方による着心地、風合いを楽しむ着物でもあります。
織りの着物には適正な地入れや、着込む事によって本来の着心地、風合いが出てくるものが多くあります。
当店では意匠ばかりに捕らわれることなく、それぞれが持つ着心地や特徴をしっかりお伝えできる品揃えを心がけています。
絣
絣には
経糸だけに染めをほどこし、経糸だけで絣柄を出した経糸絣
緯糸だけに染めをほどこし、緯糸だけで絣柄を出した緯糸絣
経糸、緯糸ともに染めをほどこし、経糸と緯糸で絣柄を出した経緯絣があります。
縞と格子
「着物は無地、縞、格子に極まれり」などといわれます。
また、「縞、格子」はもっともシンプルな幾何学模様で、昔から世界中で愛され続けている模様です。
縞・筋・間道
単純でありながら、色遣い、幅の大小、リズム(?)の違いで無限の表情が生まれる「縞、格子」は、染でも、織でも楽しめる、昔も現在でも最強の「お洒落デザイン」ではないでしょうか。
「縞」は「島」から転化したもので、十六世紀の中頃に始まった南蛮貿易を通じて東南アジアから渡来した珍奇な布を「島もの」と呼ぶようになりました。
この「島もの」のなかに線条文が多かったため、「島もの」を「縞」と呼ぶようになったそうです。
それ以前には、線条文を「筋」とか「間道」などと呼んでいました。たとえば「太子間道」という名物裂などです。
横方向の縞を織ることは緯糸を変えれば容易にできるのですが、経縞は布を構成する経糸を機に張る時点で準備しなくてはならないので、高度の美意識と感覚が要求されるのです。
